栽培農法って?

同じ野菜を栽培するのにも色々と方法が異なります。その結果、野菜の出来具合とか味とか安全性なども変わってくるので野菜の価値を決める重要な要素の一つだと考えています。

まず、どの農法が良いとか悪いとかは個々人が何を求めるかで変わってくるので言えないと思っています。ただ、それぞれに長所短所があるので生産者である農家がどんな農法(栽培方法)を採用しているかを、しっかりと消費者に伝えることは必要だと考えています。それを知ったうえで、お客様が購入作物を選択できるように。

野菜の栽培方法(以下農法)をSamの知識と理解レベル(考え方で他にも多種多様な方法があるかと思いますが。。)でまとめてみると

農法 農薬 肥料 機械 大規模化
慣行農法 使用 化学・有機肥料 使用 可能
有機農法 原則不使用*1) 有機肥料 使用 可能
自然農法 不使用 不使用 不使用 向かない
炭素循環農法 不使用 不使用 使用 可能

*1)有機JAS規格では天然物や天然由来の一部の農薬に限り使用が可能

 農法による栽培野菜の出来具合と味は農家の栽培技術と消費者の多様な視点で大きく変わると思います。

■慣行農法

日本の耕作地の99%を占めているように、スーパーやコンビニ、食料品店で販売・使用されている作物のほとんどがこの農法で栽培されたものです。

法律で定められた農薬、化学肥料(有機肥料の併用もあり)を使用して機械化による大規模栽培されているこが多いです。

1940年から1960年ごろ、グリーン革命と呼ばれ、化学肥料や農薬による虫の駆除や除草剤により収量をあげて効率的に栽培できるようになしました。現在の慣行農法はこの延長線上にあり、効率化、食味改善などを目指し日々改良されています。

■自然農法

 「わら一本の革命」の著者である福岡正信さんが提唱したのが始まりです。
耕さない、除草しない、肥料を与えない、農薬を使用しない栽培方法です

その後、岡田茂吉さんや自然農の川口由一さんが広めています。
とても人気の農法のようです。

現在、自然農法をされている菜園家は最初だけ土をほぐしたり肥料不足なら米ぬかを撒いたりと畑の土植物に合わせて個々の栽培方法に改良されています。

元気であれば、人が病気にならないように野菜も丈夫に育てば害虫被害にあうこともない。そのため農薬は不要との考えです。

雑草を刈って畑に敷くことを繰り返すと腐葉土ができ、そこに微生物が集まり豊かな土壌になっていきます。そのため肥料は必要ないと言われていますが草が分解される腐食層は1cmほどしかないので、作物の生育に必要な栄養素不足は否めないと思います。そのため一般的には作物は大きく育ちにくいものの美味しくなるようです。

自然農法は雑草を刈っては敷いてを繰り返すため機械化するのが難しい農法です。

また作物の混植などで植物同志の助け合い、補い合いをさせるため一株一株ていねいに育てる必要があります。そのため機械化、大規模農業化は難しい栽培方法です。

 ■有機農法

正しくは、有機JAS認証を取得したものを有機野菜と呼びますが、ここでは有機肥料を使用した栽培とします。

 慣行農法との大きな違いは農薬を使わない、有機肥料を使うという点です。

(但し、有機JAS規格では天然物や天然由来の一部の農薬に限り使用が可能です

農家さんによっては可能な限り石油由来のものを使わないようなどの工夫されている方もいるようですが、基本的に慣行農法と同様に機械化、大規模農業化は可能な栽培方法です。

個人的には食味についてバラツキがあるように感じます。肥料の入れすぎによるエグミが主な原因ではないかと。

大量施肥による硝酸態窒素の懸念があることも事実であり一概に有機野菜が安心安全とは言えないのではないかという意見もあるようです。

 ■炭素循環農法

炭素循環農法はブラジル在住の林幸美さんが提唱する無農薬無肥料の栽培方法です。

参考 林さんのwebsiteはこちら

Farm Samはこの農法で栽培しています。

農薬も肥料も使いません。その点では自然農と近いのですが、慣行農法と同様、機械化、大規模農業化が可能な栽培方法です。

キノコ栽培の廃菌床や木材・竹チップ、籾殻や落ち葉など炭素比率の高い資材を畑に鋤きこんでいきます。これは自然界で起きている循環(木・草はいつか枯れて土にかえり、微生物により分解され植物に生育に必要な養分を生み出す)による栄養補給です。

Farm Samの圃場 有機資材

*Farm Samの畑に入れた炭素比率の高い有機資材(木材チップを畝間に入れています)

肥料を入れずに野菜が育つのは以下のような循環があると考えられています。

炭素資材→糸状菌→細菌→窒素、リン、カリ、その他栄養素→野菜が吸収

  1. 炭素資材を餌とする糸状菌(微生物)が増える
  2. 糸状菌の排泄する物質を餌とし細菌が増える
  3. 細菌が窒素、リン、カリ等の栄養物質を排泄する
  4. 植物が栄養素を吸収する

 *Farm Samの畑の糸状菌です(白いカビみたいな部分)

炭素資材が存在すれば常にこの循環が成り立つため常に肥料分を供給し続けます。そのためよく育つといった考え方です。

 土壌が発酵しているか、それとも腐敗しているかが重要な要素とされています。植物の元気さが変わります。

腐った(腐敗した)土壌で育つ野菜は良い影響を受けません。結果、虫が集まるようになります。逆に発酵していれば野菜は元気に育ち虫の害を受けず農薬を使う必要はなくなります。

 大規模栽培にも向いた農法です。例えば連作に向かない野菜も栽培が可能とされています(マメ科は除く)。大量の炭素資材投入による多様な土壌微生物の活性化により可能になるのではと思います。ただし、土壌の状態による炭素資材の投入量管理の難しさなどの課題があることも事実です。

Samの視点でまとめてみましたが、それぞれの農法にはそれぞれのメリット・デメリットがあり農家さんの考え方で採用農法が変わってくると思います。

Farm Samで『炭素循環農法』を採用している理由は

・無農薬・無化学肥料による栽培をしたい(自信がもてる野菜づくりをしたい)

・地球環境負荷を抑えた栽培をしたい(自然循環システムの利用)

・事業として成り立つ農家になる

Farm Samの考えを理解いただき、Farm Samの野菜に興味をもっていただけると幸いです!